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上映中

モアナと伝説の海 (2016)

MOANA

監督
ジョン・マスカー
ロン・クレメンツ
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  • みたログ 1,751

4.10 / 評価:1,494件

戦うべき本当の敵は他にいる

  • koukotsunohito さん
  • 2017年3月21日 3時38分
  • 閲覧数 1172
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

アナ雪以来久しぶりのミュージカルで、舞台は常夏のポリネシア。

モアナやマウイ、島の人々や馬鹿デカい蟹が歌って踊って、マッドマックスかパイレーツ・オブ・カリビアンみたいな戦いもある。

『ライフ・オブ・パイ』を思わせる美しい海の風景も目に楽しい。

耳に残る歌声とともに思わずホロリと涙がこぼれそうになる瞬間がいくつもある。

それだけで娯楽作品としては合格だし、ディズニーアニメで今この時期に有色人種のヒロインを描くということにはやはり大きな意義がある(監督たちはモデルとなった地域を訪れて細かくリサーチもしたようだし)と思うんですが、個人的にはあの『ズートピア』のあとだけにさらに何かもうひと工夫欲しかった。

今回、主人公モアナの目的は故郷である島を守ることなのだが、その相手は女神様で、彼女は伝説の英雄とともに勇敢に困難に立ち向かう。

でもその困難というのが自然現象だったり海賊や巨大モンスターだったりするために、たとえばラプンツェルがニセの母親の支配から逃れたりアナが姉のエルサとの絆を取り戻すといったような身近な事柄と結びつけられないし、あるいは王子様との恋の否定など従来のディズニーアニメのお約束を覆す展開もないから、どうしてもストーリーが単調に感じられてしまった。

ポリネシアの文化に敬意を払ったこの作品の存在それ自体に強いメッセージ性があるのだ、という受け取り方も可能だとは思いますが。

でもやっぱりモアナには自然の脅威以外にもっと戦うべき相手がいたのではないだろうか。

この映画は「海洋版マッドマックス」などと表現されてもいたのでよけい期待し過ぎてしまったところはあるんですが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で主人公のマックスやシャーリーズ・セロン演じるヒロインたちが何と戦っていたのか思い出してみよう。

前作『ズートピア』で描かれたのは、ヒロイン・ジュディの差別や偏見との戦いだった。

またディズニーは実写版の『マレフィセント』や『シンデレラ』でも古典的な物語を大胆に改変したり、ヒロインの自己主張を盛り込んでもいる。

モアナが真に戦うべき敵は、彼女が住み愛する島と人々、伝承や文化を傷つけ破壊しようとする者たちであるはず。

そうしてこそモアナは現代に通じる「戦うヒロイン」たりえるのだと思う。

「多様性」の大切さを訴えた『ズートピア』のあとだからこそ、この作品には大いなる問題提起とメッセージを発してほしかった。

モアナによって最後に命の女神テフィティに還された「心」とは、遠い祖先から伝わる多くの大切なものたちへの愛、海や自然への畏れと敬い、それを受け継ぎ守っていくこと、そんな大地や海とともに生きていく人々の営みそのもののことだろう。

祖先たちが海を越えて新たな島にたどり着いたように、モアナはマウイとの冒険を経て自然の恐ろしさと恵みの両方を体験する。

この映画では描かれなかったが、まるで『アポカリプト』のラストのように彼女のもとにはやがて炎の女神テカーをも上回る破壊者たちがやってくるだろう。

モアナの本当の戦いはこれから始まるのだ。

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